日本の伝統文化である書道は、私たちの生活が欧米化するにつれ、日常空間で目にすることがほとんどなくなってしまいました。 その伝統のDNAに、モダンでスタイリッシュな感性を加え、現代空間にフィットする新しい日本文化として蘇らせたい。そんな思いから生まれた新しいコンセプトの“インテリアアート”。それが Carre MOJI( キャレモジ )です。キャレモジの作品はすべて、優れた書道家が感性豊かに創作したオリジナルの一点ものです。さらに、文字や飾る場所に合わせたキャレモジ独自の額装を施し、トータルなデザインで仕上げられています。書の上手さだけを競うのではなく、“ 飾ること ”“ 眺めること ”を目的に創り出される作品は、「 視覚 」と「 文字の意味 」の両面から見る人の感性を刺激します。文字を通して、心の中に美しい風景・情景が広がっていく。それこそが、他のアートにはないキャレモジならではの魅力だと思います。和のイメージが強かった墨の文化が、現代日本の感性やデザインと溶け合い、どんな空間にもフィットする日本の新しいインテリアアートとして昇華したキャレモジ。欧米のアートにはない新しい日本文化として、皆様の大切な空間を彩るアートに加えていただければと願っています。
20年ほど前、アメリカ人の友人が日本に駐在することになりました。都心のマンションのリビングに日本のアート「 書 」を飾りたいと思い、部屋にマッチするモダンな作品を探していました。私も一緒に東京や京都、大阪のデパート・画廊などを探しまわったのですが、流通しているのは西欧風の絵画ばかり。書はかろうじて一部の骨董品店で、古風な掛け軸や墨蹟などが少数見られただけでした。友人は「 日本人は、自分の部屋に日本のものをどうして飾らないの? 」と、日本のインテリア事情を大変不思議がっていたものです。ところで、皆様のお宅やオフィスではインテリアとしてどんなアートを飾っていますか? 油絵、リトグラフ、写真、ポスターなどでしょうか?どれも元来、欧米から入ってきたものばかりですね。日本のオリジナルアートは、現代の生活や空間からかけ離れた遠い存在になってしまったようです。海外に旅したり、生活したりすると、日本から発信され、世界で評価されている文化を目にするチャンスが多く、日本人として大変誇らしく思います。しかし、よく見てみますと「 日本オリジナルの文化 」で、世界の人々の日常や現代生活に普遍的に溶け込んでいるものはほとんどないといっても過言ではありません。日本には、「 書 」をはじめとして、世界に誇る芸術が多数存在しています。しかし、私たちの生活がモダンになり、日本風の家屋が減少するにつれ、日本のアートは現代社会から遊離し、生活空間での役割は目に見えないほど小さくなってしまいました。それでは、日本古来の文化は、現代の住空間や建物とは調和しないものなのでしょうか? いいえ、素晴らしい魅力を持った日本文化ですから、新しい時代の息吹を吸収し昇華していけば、今までにない新鮮なインパクトと価値を持つ新しい文化になり得るはずです。そのひとつが「 飾りたくなる書 - キャレモジ 」です。その共通する仕組みは 展覧会を頂点として先生の手本や意向が重視されますので、残念ながら、キャレモジの大切な要素である「 書線の深み(線の極まり) 」は甘くなり、「 個性 」は埋没してしまいがちのようです。質の高い書のインテリアアートを創り上げるのは、プロの書家でも簡単なことではなかったのです。半紙1枚の作品を書くには、多くの時間は要しませんが、何枚も何十枚も何百枚も書き重ねて作品1点を創り上げていきます。それに加えて、その作品には、書道家としての数十年の研鑽と人間性や世界観も凝縮されています。書線は書き手のすべてを語ります。そのときの心の動きや身体の調子までも……。キャレモジは、才能溢れる書道家が、「 もっと楽しくもっと自由に 」と創り上げた作品群です。だからこそ、皆様の心に美しい風景・情景が自然に広がってくるのです。
キャレモジが目指すのは、書道を超越したインテリアアートとしての価値です。キャレモジのクリエーターは、一流書道家であるのみならず、キャレモジ作品を構成する基本要素である「 書道としての完成度 」と「 デザイン性・感性の高さ 」の二つの才能を併せもったアーティストといえるかと思います。現在13名の書道家が所属・登録をしていますが、キャレモジの書家を依頼したり、発掘する過程で、書道の実力と高い感性を併せもった書道家が思いのほか少なかったことは、大きな驚きでした。「 書家は字が上手いはず 」「 書家は創造力が豊かなはず 」がどうも少し違うのです。日本では、小さいときにお習字教室に通った、段を取った、師範の免許をもっている等々、筆を持った経験がある方が数多くいます。書道には国家試験がありませんので、所属する団体や組織ごとにさまざまな資格を決めてその免状を授与しており、先生と呼ばれている方々の実力も千種万葉です。
キャレモジは、従来のどのジャンルの書道をも超えた全く新しいコンセプトのインテリアアートです。「 書道としての完成度 」と「 デザイン性・感性の高さ 」を基本に、「 インテリアとして最大の価値を引き出す額装 」が付加されたキャレモジの作品は、次のようなコンセプトで裏打ちされています。皆様が日常で目にするいろいろな書道や筆文字は、制作者の個性を前面に打ち出し、見る人の視覚に焼き付ける足し算主体で制作されたものが大半です。お酒のラベルや番組のタイトル、お店の看板から展覧会で入選を狙う作品まで、短時間で認知されることが必要ですので、目立つことに意味があります。一方、長く楽しめるインテリアとしての価値を追求するキャレモジは、書の線の奥深さや表現方法、構成、余白の使い方などによる引き算の要素を加え、足し算と引き算の絶妙な調和を兼ね備えたアートといえます。作品が目立つことよりも飾る方の心の充足感を重視しています。そのコンセプトの中心になっているのは、「 主役はその空間とそこにいる人 」だということ。飾ることにより、いつもの空間が和み癒され、そこにいる方が楽しく、心地良く、元気になるような、圧迫感がなく、飽きのこないインテリアを目指しています。 描き手( 書き手 )を主役とする通常の絵画・書画とは、スタンスが異なるのです。一流書家が「 引き算の要素 」を具現化し、「 主役はその空間とそこにいる人 」を前提にして創った作品だからこそ、世界で唯一つのインテリア書としての魅力を感じていただけるのだと思います。
人と人の温かいふれあいとつながりに大切な心は、日常生活が基本です。キャレモジは、その日々の生活を豊かにする大切なツールの一つだと思っています。日々目にする壁面に1枚のキャレモジを飾ることで、心が和み、癒され、明るくなって、私たち現代人が失いかけているさまざまな「 和 」の心が蘇るのです。
なごむ ー 和む Harmony ー 調和 Peace ー 平和 日本 ー 和
キャレモジのもうひとつの大切な要素が「 余白 」です。文字の持つ線と形と意味を、余白を最大限生かして表現することで、
その作品から醸し出される風景・情景がいっそう広がっていきます。余白は決して「 余り 」ではありません。余白にこそ、その作品の本質が表れる。キャレモジではあえて「 余白を書く 」といっています。枯山水の庭園、わびさびの心、五七五の俳句等々、日本のさまざまな伝統は、余白に通じる“ 言い尽くさない/のりしろ ” のような要素を大切にしてきました。この日本固有のかけがえのない「 余白 」を現代社会に取り入れることで、現代日本と日本人が抱える多くの問題を解決する糸口にもなろうかと思います。キャレモジ作品は、「 空間における余白 」であるとともに、皆様の「 心の余白 」でありたいと願っています。
部屋に飾られた1枚のキャレモジ。 そこから美しく広がる「 墨の風景 」は、見る人の心の余白を膨らませ、和の心を熟成し、その空間を目覚めさせます。麗しい国土・美しい地球を形成する最小単位は、それぞれの方の住空間。その部屋や壁面がいかに楽しいか、美しいかが、街や国や地球の心地良さの原点になります。キャレモジが発する小さな波動が、その心地良い世界を作る一助となり、希望溢れる未来を育むKey Stoneとして、内外の数多の人々の空間へ広がっていくことを夢見ています。
キャレモジ創設者 植野 文隆